なぜポリエステルって染められないの? 【そめそめQ&A #01】
2017/08/17
お客様から頂くお問い合わせのなかでもTOP3に入るご質問…
と、いうわけで始まりました!当コーナー「そめそめQ&A」
このコーナーではお客様から頂く疑問に入社一年目のスタッフ内藤が
時に実験を交えながら、色素に関する疑問に挑んでいくコーナーです!
今回のテーマは
「ポリエステルは何故ご家庭で染色できないのか?」です。
当店で販売している“そめそめキット”には様々な種類があります。
「綿麻用」「アクリル・ナイロン用」「クラフト(木・竹・白地アクリル繊維)用」
アクリルOKでポリエステルは無いの?
そもそも種類多すぎじゃない!?
と脱線気味に疑問もありますが、それはまた次回のお話で!
実験してみました。
まず結論として、当店としてはポリエステル系のご家庭での染色は「お勧めいたしません」。
今回は既存のそめそめキットで染めた場合の実験を行ってみました。
幅2センチ程度のポリエステル生地を切り分け、それぞれの方法にて染色した後、
3分程度の水洗いと1分の脱水をかけた状態です。
(今回は簡易的な実験のためソーピングは行っておりません)
実験結果がこちらです。
写真の通り、専用の方法で染色を行った染色に対し
そめそめキットで染めた物は色の着色があまりよくありません。
綿麻用に至っては「あれ?一緒に洗った白生地に色移りしただけ!?」というレベルです(汗)
ポリエステル染色の秘密は「温度」と「圧力」にあり!?
もちろん、専用の染料(分散染料)をしようしましたが、
それ以上に大切なのが温度です。
今回のテストでは容器を密閉したうえで、130℃を20分間キープできる
染色テスト用の装置を使用しました。
この130℃というのがポイントで
ポリエステルを染める場合、高温(より濃く染める場合には+高圧)が必要になります。
生地の間に隙間を開け、その中に染料を押し込むイメージです。
Q:圧力鍋じゃダメなの?
ご家庭で高温高圧にできる器具として「圧力鍋」がありますが
- 温度・圧力を常に一定にする
- 中身を均一にかき混ぜる(色ムラ防止)
ことが難しく、現実的ではないかと思います。
最後に
以上のことから当店としてはご家庭での染色はおすすめできません。
また仮に染色加工をお受けしたとしても特殊な機械を動かすため、
1回で数万円の加工賃がかかり、製品によっては大きく縮むものもあるため、
基本的にこちらの染色加工もお受けすることが難しくなっています。
染める場合は、染める生地の素材を正しく把握し、それに合った染料を選んでくださいね。
さて次回は、そもそも論
「生地の素材によって、使用染料が変わる理由」
について調べたいと思います。